フリュギアの井戸

実生活では口にできないあれこれを、ひっそり井戸の底に落とします。

日本の自然

伝統文化の手習いをしていて、先生たちには言えないけど思うこと。

 

外国の方に、自分たちの芸事を説明することがあるが、そのなかで「自然を愛する日本文化」というのが、よく出てくる。

でもこれ、欧米の人からすれば「?」だろうな、と思う。

山奥に自販機を設置し、海辺に看板を立てちゃう日本の文化が、自然を愛してる???

 

すれ違いのポイントはこういうことだと思う。

 

日本的自然=移り変わるもの

欧米的自然=人工のアンチテーゼ

 

よく手入れされたお庭でも、四季の移り変わりに自然を感じるのが、日本的感性。だから一坪の庭でも、里山の風景でも、そこに自然を感じる。

それに対して、人間の手の入らない、峩々たる山とかに自然を感じるのが、ヨーロッパ的感性。だから万年荒涼とした荒地でも、人の気配がなければ、それこそが大自然

 

「自然を愛する日本文化」という説明で、先様に「この人たち、自国のやってることが分かってないのかな。」と思われそうで、私は言い訳したくなる。

 

「違うんです。日本人はあなたがたと違う文脈で、自然をとらえているんです。」

 

言葉の意味の中心が微妙にずれているのが気になって、私はこころの中で言い訳をする。